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寄付者に便宜供与?
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政治専門紙ザ・ヒル(電子版)など米メディアは1月5日、クリントン元国務長官が在任中、慈善団体「クリントン財団」への寄付者に便宜を図っていた疑惑について、連邦捜査局(FBI)が捜査を進めていると報じた。
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税控除を受けた資産を政治的または個人的な目的で使用したかに加え、税法を順守していたかも調べているという。
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クリントン財団をめぐる疑惑は以前にも捜査が行われたことがある。クリントン氏が出馬した2016年の大統領選でも、トランプ陣営が攻撃材料にしていた。
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米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、FBIは当時、捜査拡大を主張したが、選挙戦に影響を及ぼすことを懸念した司法省が反対。大統領選終了を受け、約1年前に捜査が再開された。
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大統領選では、ロシアがトランプ陣営と共謀して介入した疑惑も浮上し、モラー特別検察官が捜査中。トランプ大統領はかねて、自身の疑惑を否定するとともに、クリントン氏の疑惑も捜査すべきだと主張していた。
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ヒル紙によれば、財団関係者は「これまで何度も政治的動機に基づく疑いをかけられてきたが、その都度でたらめと証明されてきた」と疑惑を否定。クリントン氏の広報担当者は、捜査再開にトランプ政権の意向が働いたと主張し「共和党は慈善活動を政治ゲームにしようとしている」と非難した。
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ドナルド・トランプ米大統領は2017年10月29日、ツイッターへの投稿で、16年の米大統領選で同氏陣営とロシアが共謀した疑惑の捜査を「魔女狩り」だと再び非難し、ロシアとの共謀は一切ないと重ねて強調した。また、自身に関する調査報告書に民主党側が資金提供していたとされることなども批判した。
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トランプ氏は同日未明に連投したツイートで、大統領選を争ったヒラリー・クリントン氏による国務長官時代の使用メールの取り扱い、トランプ氏の背後関係などに関する報告書への民主党からの資金提供、バラク・オバマ前政権時代の米国からロシアへのウラン販売について不満をぶちまけた。
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トランプ氏は「民主党とクリントンの罪は非常に大きい。今、事実があふれ出てきている。何かしろ!」と書き込んだ。
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トランプ氏と協力者、ロシアが通じている可能性について元英諜報機関員がまとめた報告書をめぐっては、クリントン氏陣営と民主党全国委員会(DNC)が調査資金を一部提供していたことが暴露された。トランプ氏はツイートでおそらくこの報告書を指して「偽物の文書」と非難している。
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ロシアによる米大統領選干渉疑惑をめぐっては先週末、大陪審が少なくとも1人の訴追を認めたと報じられ、米政界に激震が走った。この疑惑ではロバート・モラー特別検察官が捜査を進めている。
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バラク・オバマ.前大統領は米国のウラン鉱脈を保有するカナダの採掘企業ウラニウム・ワンのロシアの国営原子力企業ロスアトムへの売却を承認。売却は2013年に実施された。
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これにより米国のウラン備蓄の20%をロスアトムが支配することになったが、こうした決定が下される前にウラニウム・ワンはクリントン財団に大口献金を行っていた。
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このウラン取引についてトランプ氏は昨年数回問題視していた。これに対してクリントン財団側は、その指摘は事実でないと何度も証明してきたと主張していた。
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トランプ大統領はツイッター(Twitter)への投稿や演説を通じて司法省に対し、クントン前国務長官が公務に私用メールサーバーを使用していた問題についても調査を再開するよう再三要求していた。
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司法省は進行中の捜査の有無について確認も否定もしないとの方針を理由に、CNNのコメント要請に応じなかった。アーカンソー州の連邦検察事務所もコメントしなかった。
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クリントン財団の代理人は一連の疑惑の内容に関し、証拠が示されていないと主張。「クリントン財団はこれまで何度も政治的な思惑に基づく疑惑にさらされてきたが、そのたびにこうした疑惑が誤りであることが証明されている」などと述べた。
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司法省が沈黙を続ける一方、トランプ大統領は引き続きヒラリー氏の捜査を要求してる。共和党内では一部の議員がトランプ氏を後押しする一方、トランプ氏が司法省の捜査の独立に関する慣例を守っていないと懸念する声も上がってきた。
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当時アラバマ上院議員だったセッションズ司法長官は選挙期間中、ヒラリー氏が国務長官としての高い地位を利用して外国政府から財団への献金などを「ゆすり取っていた」と主張。ヒラリー氏の広報担当者は汚職疑惑を否定していた。
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