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   2017.10.16.
   神鋼・統治機能マヒ:多角化と不正の温床!
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「独立会社」の集合体!
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子会社213社・情報共有されず!
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 神戸製鋼所がグループ会社9社による不正を新たに公表したことで、関連会社を含むグループ全体への不信が広がっている。建設機械、プラント製造などへ多角化を推し進め、子会社200社以上を抱える神戸製鋼。しかし関連性の薄い事業が並ぶ縦割り構造が企業統治の機能不全を招き、不正の温床となってきた。
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 「報道で知ってびっくりしている。うちにも影響がないか心配だ。しかし(不正の
公表は)神戸製鋼本体のことなので分からない」
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 ある有力グループ会社の幹部は、一連の不正について情報が共有されていないことに不安を募らせた。
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 一方、不正が公表された別の子会社の幹部は「グループ内の他の不正は、ちょっと想像できない」と語り、他の部門の情報を持っていないことを明かした。
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 鉄鋼メーカーで国内3位の神戸製鋼は、業界の世界的再編や中国などとの競争激化が進む中、規模の劣勢を事業の多角化で補う「複合経営」に取り組んできた。
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 主要事業は鉄鋼、アルミ・銅、建機、溶接、発電など7分野に及ぶ。同社によると 、平成29年3月時点で子会社は213社、それ以外の関連会社も56社に上る。
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 ただ、企業経営に詳しい青木英孝・中央大学教授は「グループが複雑、巨大化すると、不正も隠しやすい状況に陥る」と指摘する。
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 また、専門性の高い部署の間で連携や情報共有ができない「縦割り経営」の弊害も生まれた。楽天証券の窪田真之・チーフ・ストラテジストは、「神戸製鋼は独立会社の集合体のような特性がある。グループ内の問題に全社で対応できていたのか」と疑問を投げかける。別部門の不祥事は人ごとと受け流され、反省や教訓が共有されなかった可能性があるというのだ。
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 実際、グループ内では18年から昨年までに、製鉄所の煤煙データ改竄、グループ会社の鋼材試験データ捏、ばね用鋼材のデータ改竄が相次いで発覚したが、教訓が生かされないままさらに不正が重ねられた。
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 川崎博也会長兼社長は13日の記者会見で、不正が同時並行的に行われていたことについて「その分析がキー(鍵)だと考える。原因分析の最中」と説明。本社部門のマネジメントに問題があったと認め、「風土的なものを感じられるのも仕方ない」とも述べた。
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 神戸製鋼は1カ月以内に原因分析と対策を経済産業省へ報告するが、その先には企業文化の刷新という難しい課題も待ち受けている。
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