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   2017.10.11.
   ダンピング対策:総合評価方式に失格基準併用を!
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低入札調査基準価格・失格基準に適切な幅を!
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 国土交通省と総務省は9月29日、一部の地方自治体が総合評価方式の適用工事に最低制限価格を導入していることを問題視し、総合評価による入札で低入札価格調査制度を運用するよう、全国の自治体に要請した。
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 2014年9月に閣議決定している「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(適正化指針)に沿って対策の強化と徹底を求めていく方針。
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 適切な運用を後押しすることで、適正な施工への懸念がある建設業者を排除。結果として、公共工事の品質の確保につなげる。
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 要請通知は、一部の自治体の発注事務(総合評価落札方式における最低制限価格の運用)に対する会計検査院からの指摘を受けた措置。
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 総合評価落札方式は、価格だけでなく、技術を含めた総合的な評価で落札者を決めるという制度の性質から、地方自治体法の規定(施行令)で最低制限価格を設定することが出来ない。
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 だが、自治体が行う総合評価落札方式の入札で最低制限価格を導入して、この低価を下回る価格で入札したことで失格とするケースが出ていた事が判明。ダンピング対策を徹底する観点から、自治体に適切な運用を促す必要があると判断した。同制度のダンピング対策として、低入札価格制度の活用を活用を改めて徹底させる。
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 失格基準は、08年3月に策定した「地方公共団体向け総合評価実施マニュアル」を参考に設定すること推奨。そのライン(価格水準)を調査基準価格と同額とするのは、最低制限価格の運用と同義であることから、それぞれの発注者の判断として、自らの調査能力や事務負担に配慮しながら「失格基準」と「調査基準価格」の2つの価格水準に適切な「幅」を設けることも書き添えた。
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 国交省が直轄工事に導入している施工体制確認型総合評価方式も参考にするよう要請。競争参加者の施工体制を適切に評価し、ダンピング受注の防止を徹底するよう求めた。
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 国交省は、都道府県の担当者と入札契約制度などの課題を議論する17年度下期「ブロック監理課長等会議」(入札契約担当課長会議)で、価格による失格基準の実例などを紹介しながら適切なダンピング対策について周知を図る考えだ。
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 一般工事でも、ダンピング受注に対し、総務省・国交省は以下のような文書を全国各知事や指定都市市長および各議会議長に通知している。
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平成28 年3 月18 日
各都道府県知事、各指定都市市長及び議会議長あて
<低入札価格調査における基準価格の見直し等について> 一部抜粋
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 ダンピング受注(その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結をいう。)は、工事の手抜き、下請業者へのしわ寄せ、公共工事に従事する者の賃金その他の労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすく、ひいては建設業の若年入職者の減少の原因となるなど、建設工事の担い手の育成及び確保を困難とし、建設業の健全な発達を阻害するものであることから、これを防止する必要があります。
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1 ダンピング対策の強化について
低入札価格調査制度又は最低制限価格制度の適切な活用を徹底することにより、ダンピング受注の排除を図ること。このため、低入札価格調査制度又は最低制限価格制度のどちらも未導入の地方公共団体にあっては、早急に制度導入に向けた検討を行うこと。
また、今般の中央公契連モデル及び国土交通省の見直しを踏まえ、低入札価格調査基準及び最低制限価格について、その算定方式の改定等により適切に見直すこと。
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2 低入札価格調査の基準価格等の公表時期の見直しについて
低入札価格調査の基準価格及び最低制限価格については、その事前公表により、当該近傍価格へ入札が誘導されるとともに、入札価格が同額の入札者のくじ引きによる落札等が増加する結果、適切な積算を行わずに入札を行った建設業者が受注する事態が生じるなど、建設業者の真の技術力・経営力による競争を損ねる弊害が生じうること、地域の建設業の経営を巡る環境が極めて厳しい状況にあることにかんがみ、事前公表は取りやめ、契約締結後の公表とすること。
予定価格についても、その事前公表によって同様の弊害が生じかねないこと等の問題があることから、事前公表の適否について十分に検討した上で、弊害が生じた場合には速やかに事前公表の取りやめ等の適切な対応を行うものとすること。
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 詳細はPDFを読んでください。
.17.10.11 tuchi-000404485.pdf