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共同企業体も内部分裂!
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巨額の未払い金が発覚!
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運行開始までに5駅舎が完成するところは皆無と!
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ペインが受注したサウジの高速鉄道(AVE)、「ハラマイン高速鉄道」の高速鉄道計 画が難航している。この「砂漠の砂」問題、2012年に受注して建設工事が続けられ
ているがいまだに解決していない。
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2017年3月にスペイン企業12社から成るコンソーシアムは線路に積もった砂の量によって時速150km、50km、5kmという3段階のスピードで走行することを決定した。砂の溜まり具合が線路を覆うほどでない場合は時速150km、線路をほぼ覆うだけの溜まり具合であれば時速50km、そして線路を完全に覆う高さだと時速5kmとされた。5kmというのはほぼ歩行程度のスピードである。砂の堆積しない箇
所は最高時速350kmの走行になっている。
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サウジアラビア東部の聖地メッカと交通の要衝ジェッダ、そして聖地メジナを結ぶ高速鉄道が計画され、内陸部のイスラムの最大の聖地メッカから、海岸部のジェッダを通り、さらに内陸部のイスラムの聖地メジナを結ぶ約450kmの路線が「ハラマイン高
速鉄道」だ。
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2009年からのハラマイン高速鉄道第一期工事(土木工事)は中国鉄建、フランス企業、サウジアラビア企業のコンソーシアムが受注。この第一期工事(土木工事)では、トンネルや橋、排水路の建設、線路の路盤の整地、そして駅の建設を行い、第二期工事で線路の敷設、信号システムや電気系統の設置、車両の製造を行っている。
コンソーシアムの間でも、砂の問題を解決せねばならないエンジニア企業Inecoに他社から批判が集まっているという。コンソーシアムの中の3社が当初線路の傍に防禦壁を設けるという提案をしていたが、現在もそれが実行に移されていない。また、他にもさまざまなアイデアは出ている。例えば、段差の砂を高く積んで、その背後に塹壕のような堀りを設けるという案。他には、砂漠で生息できる植物を植林するというのは効果があるということは他の砂漠で実証されているという。しかし、それが成長するまで時間がかかるという理由で植林も実施されていないなど、対策は色々あっても1つも実行されていないのが現状である。
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Ineco側が対策で出してきたのは、線路に一定間隔でセンサーを設置して砂の溜まり具合を事前にチェックすると言うプランだ。しかし、センサーも砂の影響で機能しないということが判明している。その為、結果的には砂の溜まり具合を列車の運転手が見て判断するということになったようだ。そして、それは運転手がやるべき業務ではないとして不満も出ているという。
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サウジ側から今回のプロジェクトのスーパーバイザーとして認定されているドイツ鉄道ドイチェ・バーンもスペインのコンソーシアムがこの砂の問題を解決できないにも関わらず、できるだけそれを表沙汰にせず沈黙を守ろうとしている姿勢を強く批判している。
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ある資料には、事前の調査をしっかりやればよかったが、事前調査をしても受注するとは限らないので、事前調査はおざなりなことが多いと書いてあった。
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日本でもアルジェリアの高速道路工事で、日本のゼネコンは1000億円の未払いを抱えていたし、中国もメッカ・メトロで500億円が未払いだし、2016年10月からサウジ側でコンソーシアムに1億ユーロ(130億円)の支払いが遅延している影響で、このプロジェクトに参加している一部企業で従業員に給与が払えず問題になっている。
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工事は現在順調に進んでおり、年内に運行が可能になる予定だとしている。当初、線路の土台の建設を担当した中国とサウジの企業体に完成の遅れが出た上に、砂の堆積問題などが理由で、今年1月から運行予定だったのが遅れていた。サウジ側の了解を得て2018年3月15日までに運行するこになった。
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コンソーシアム内部でもトップが代わってから工事は予想していた以上のスピードで進み、年内の運行が可能になっている。
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この問題とは別に、駅の建設遅れも問題になっている。ジェッダ駅と空港を繋ぐ駅を加えて全部で5つの駅が建設されており、総工費は20億ユーロ(2600億円)。メディナ駅が一番最初に完成する予定だというが、工事が著しく遅れている。
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これはサウジ側が建設を担当していて、スペインのコンソーシアムは関与していない。高速列車が運行開始するまでに駅の建物が完成するところは皆無だと推測されている。メッカ駅はゴールド、メディナ駅はグリーン、ジェッダ駅はパープル、アブドラ前国王に因んだKAEC駅はブルーとシルバーがそれぞれ基調色となっている。どれもサウード家の豪勢さを誇る豪華な建物になるとしている。
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メッカ駅とメディナ駅は、アルカイダのリーダーだったウサマ・ビン・ラディンの家系グループの企業が建設の担当をしていたが、会社は倒産して8万人を解雇するというハプニングもあった。現在はトルコとサウジの企業によるJVで建設が続けられている。
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このプロジェクトの受注にはスペイン王家から当時国王のフアン・カルロス1世が態々サウジを訪問してアブドゥラ前国王(当時国王)と会談してAVEの受注を背後から支援したという経緯もあった。ライバルはフランスの高速列車であった。オファー価格はフランスのそれよりもスペインが2割安価(当初契約8100億円、現在9600億円に)であったが、サウジ鉄道は超過額には同意していないという。
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