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シリアを巡りイランVSサウジ・UAE・トルコ!
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裏には根深い民族問題!
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アラブ諸国は2017年6月、カタールとの国交断絶に踏み切った。
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サウジは世界有数の原油埋蔵量を誇り、カタールは世界最大の液化天然ガス(LNG)の生産国。世界のエネルギー供給を考えれば憂慮すべき出来事だ。
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中東の混乱は収まる様子もなく、シリアの内戦は7年目に入った。アサド政権と反体制派の戦いに加え、クルド人勢力や過激派組織『イスラム国』(ISはスンニ派)など様々な勢力が入り乱れて争っている。
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イランやレバノンやロシアがアサド政権を、サウジを中心にトルコやUAE、米国などが反体制派を支援。中東全体がシリアを巡り2つに割れて対立している。
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対立の根本は
「一つの要因は宗教や民族問題で、イスラム教全体ではスンニ派(9割)とシーア派(1割)という二大勢力があり、中東では両派の人口は拮抗して庵、スンニ派の盟主がサウジ、シーア派の盟主がイラン。両国は昔から仲が悪く、地域の主導権をめぐって対立しており、それぞれの宗派が多数派を占める国に大きな影響力を持っている。シリア内戦は両勢力の代理戦争なのだ。
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「カタールはスンニ派の国ですが、イランとも友好関係を築いていました。シリア内戦という中東を二分する戦いが起きているなか、サウジなどが敵対するイランとの関係を問題視したのが今回、断交に至った理由の一つです」
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「2011年にエジプトのムバラク政権が『アラブの春』という民主化運動で倒れ、イスラム原理主義を掲げる『ムスリム同胞団』が選挙で第1党となったことがあり、サウジなど周辺国は民主化の波が自国に及ぶことを警戒したが、カタールはムスリム同胞団を公然と支持し、カタールの衛星テレビ局、アルジャジーラは周辺国の政府に批判的な報道が多く、サウジは以前からカタールに警告を発していた」
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「この地域は第2次世界大戦後、米国が強い影響力を行使してきたが、01年以降、アフガニスタンやイラクに軍事介入を続けたが、安全保障を肩代わりすることが重荷となり、13年に当時のオバマ大統領が『世界の警察官』から退く方針を表明。米国の抑止力が効かなくなった結果、サウジやイランは自らこの地域の紛争に介入することになった」
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「米国では、オバマ氏の方針を批判するトランプ氏が大統領に就任。ロシアのプーチン大統領と協力して現在の混乱を解決できるのかと期待されたが、トランプ氏は国内問題でトラブルを抱え、それどころではなく、中東で続く混乱は誰にも止められないのが現状なのだ」
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長期化するシリア内戦、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭、サウジアラビアなどによるカタールとの断交。一見、ばらばらに見える中東で起きていることは、すべて同根でつながっている。
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シリア内戦は事態収拾にあたるはずの周辺国や大国が当事者になり、国際社会の機能不全と統治の不在がISというモンスターを生んだ。サウジとカタールという兄弟国の断絶も、中東を二分する対立の延長線上にある。
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混迷が長引くほどシリアが元の姿に戻ることは難しくなる。シリアやイラクに分散して暮らすクルド人の独立に向けた動きも急だ。中東で今、起きているのは国家の枠組みを問い直す動きなのだ。が、これだけ混乱すると単に国家間の問題では片付かなくなってきた。
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中東の各国に抱えるスンニ派とシーア派の人口が、周辺国の派と連携し様々な問題が吹き出し、それらを強硬に抑え始めると各国が内乱状態になる。
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これに加えて、イスラエルと対立するパレスチナ問題もイスラエルが空爆を続けてきたガザ地区に、地上部隊による作戦も開始され、中東もきな臭くなってきた。
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