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   財務省:企業の内部留保・過去最高406兆円!
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最高益も投資に回らず・GDP下方修正へ!
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 2016年度の国税収入は55.5兆円となった。前年度から▲0.8兆円減少、昨年
12月時点の財務省見通しからは▲0.4兆円の下振れである。15年度水準と比べる と▲0.8兆円の減少となる。16年度税収の伸び悩みの主因は、年度前半の円高進行 である。年度前半の税収は前年同時期比▲1.0兆円の減少、後半は同+0.2兆円とな っている。年度後半の税収はプラスに転じたものの、年度前半の失速を取り戻すには至 らなかった。
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 課税ベースと経常利益との間に差異が生じる要因が、日本企業の海外進出である。国内企業が海外進出を拡げれば、海外で法人税が課せられる利益が増え、国内での法人税は 伸びにくくなると考えられる。
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 アメリカやオーストラリアを除き、主要各国の法人税率は日本よりも低い傾向にある。例えば、イギリスの法人税率は20%、韓国の法人税率は24.20%となっている
。法人税が低いと、企業が国に納める金額も当然少額になる。これによって、海外へ企業が流出してしまうことを防ぎ、海外の企業を誘致しようという狙いが日本にはある。
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 もともと各国では、企業のグローバル化などから法人税が減税される傾向にあり、インドネシアも、現行25%となっている法人税を17.5%まで減税する意向を示して いる。各国の法人税減税に追随する形で、日本も法人税を下げていこうというのが今回 の法人税減税でる。政府の狙いは国際競争力を強化することにあるようだが、、、。
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 財務省は9月1日、2016年度の法人企業統計を公表した。企業が得た利益から株主への配当などを差し引いた利益剰余金(金融業、保険業を除く)は前年度よりも約28兆円多い406兆2348億円と、過去最高を更新した。日本の景気は回復基調を続けているが、企業のいわゆる「内部留保」は積み上がっている。
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 経常利益は同9・9%増の74兆9872億円で、比較が可能な1960年度以降で最大。16年度の前半は英国のEU離脱決定などで円高・株安に陥ったが、その後は持ち直し、自動車やスマートフォン向け電子部品などの好調さが牽引する形で企業業績は回復した。
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 政府はため込んだ内部留保を設備投資や社員の賃金アップなどに使うよう求めているが、企業側は慎重な姿勢を崩していない。16年度の設備投資額は42兆9380億円で、前年度比0・7%増にとどまる。第2次安倍政権が発足した12年度以降、内部留保は約124兆円積み上がった。
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 同時に発表された今年4~6月期の企業の経常利益は前年同期比22・6%増の22兆3900億円。国内の設備投資額は1・5%増の9兆4506億円だった。
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 財務省が1日発表した4─6月期の法人企業統計(金融業・保険業を除く)によると、全産業の設備投資額(ソフトウエアを除く)は3四半期ぶりに前期比減少した。経常利益は過去最高となったものの、設備投資に資金が回らない姿が続いている。特に製造業は前期比で2期連続の減少、前年比でも3期ぶりの減少となり、勢いがない。人手不足対応の省力化投資が期待されている非製造業も、4期ぶりに前期比減少に転じた。
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 中でも、製造業の設備投資額は、前年に生産能力増強投資を行った輸送用機械、工場を新設した情報通信機械などで軒並み反動減となった。前期比でも2期連続で減少。
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 非製造業は前年比で6.9%増と3期連続の増加で、インバウンド向けのホテル建設や、レンタカー事業の増強、通信回線の敷設などが伸びた。ただ、前期比では減少に転じ、やはり勢いを失っている。
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 他方で、業績は順調だ。全産業で前年比・前期比ともに増収増益。特に経常利益は前年比で22.6%増と4期連続の増益で、過去最高益を更新。この結果、売上高経常利益率も同じく過去最高となった。内部留保にあたる利益剰余金をみると、過去最高だった前期に次ぐ水準で388兆円に積み上がっている。
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 人手不足が深刻化しつつある現状で省力化投資が勢いづくはずだが、「最近報道されるように省力化投資は盛んかも知れないが、企業は他の投資を削り、全体として投資規模を拡大していない可能性が高い」(SMBC日興証券・チーフマーケットエコノミスト・丸山義正氏)との見方もある。同社では、4─6月期国内総生産(GDP)1次速報で前期比プラス2.4%だった実質設備投資は、2次速報で同マイナス0.2%へ下方修正されると見込む。みずほ証券でもプラス0.2%に大幅下方修正されるとみている。
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