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食糧輸入の要は太平洋航路!
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大豆の輸入先は米国・ブラジル・アルゼンチン!
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1793年、清の乾隆帝は英国から貿易促進のために派遣されたジョージ・マカートニー伯爵に対して、中国は“地大物博”(領土が広く物が豊富)であるから、外国と交
易する必要はないと言い放ったそうだ。
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そんな中国だが、モータリゼーションが進展する中で国内生産だけでは石油が足りなくなった。現在、約3億トン輸入している。ちなみに、日本の輸入量は約2億トン。
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石油の輸入は中国の対外戦略に大きな影響を及ぼしている。中東から中国までの輸送路を確保したい。南シナ海の領有を宣言したりインド洋に進出したりする背景には、石油を安全に運びたいとの思惑がある。ミャンマーやパキスタンに多額の援助を行って同盟国化しようとしていることも同様の理由である。
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そんな中国にとって、石油と同様に海外から大量に輸入するものが現れた。大豆である。現在、中国の大豆輸入量は6000万トンを上回り、世界で交易される大豆の6割にもなっている。日本の輸入量は約300万トン、中国の輸入量は食料輸入大国と言われる我が国の20倍にもなっている。
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大豆を絞って大豆油を得るが、その搾りかすである大豆ケークと呼ばれる粉末は家畜のよい飼料になる。大豆は36%ものタンパク質を含む。トウモロコシのたんぱく質含有量は9%程度だから、家畜へのタンパク質供給を考えた時、大豆6000万トンの輸入はトウモロコシ2億4000万トンの輸入に相当する。中国はまさに大量の家畜飼料を輸入している。
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中国人は豚肉を好む。中国で肉と言ったら豚肉を指すが、現在、中国人が食べている豚肉は大豆ケークを使って生産されている。
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中国は国内で大豆を生産しており、1980年代には170万トンもの大豆を輸出したことがあった。21世紀に入って自給率は急速に低下しており、2013年は16%に過ぎない。
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中国は大豆を主にブラジル、米国、アルゼンチンから輸入している。2013年の輸入量はブラジルからが3180万トン、米国が2220万トン、アルゼンチンが600万トンである。
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食料が輸入できなくなる事態は、大きく分けて2つ。1つは生産量の減少。食料が足りなくなればどの国も自国の需要を優先するから、米国やブラジルが中国に大豆を売らなくなる事態も想定される。
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しかし、それは杞憂と言えよう。大豆を栽培する畑ではトウモロコシを栽培することができる。農民はより多くの収入が得られる作物を栽培する。現在、米国は1億トン以上のトウモロコシをバイオエタノールの生産のために使用している。それはトウモロコシや大豆の過剰生産を解消するためである。世界では食料の過剰生産状態が続いている。そのために、食料不足が禁輸につながる事態は考え難い。
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食料輸入の途絶を心配するのは、政治的な理由である。戦争になれば、敵対国に食料を売る馬鹿はいない。また戦争に至らないまでも、その前段階において敵対する国に食料を売らないことをちらつかせて、譲歩を迫ることができる。昨今話題の北朝鮮に対する石油の禁輸がその例である。
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中国の対外戦略は混乱しているようだ。石油の輸入、つまりエネルギー安全保障を念頭に置いて南シナ海やインド洋に進出したのだが、そのことをもっとも面白く思っていないのが米国。
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中国は対立を深め始めた米国から大量の大豆を輸入している。ブラジルやアルゼンチンからも輸入しているが、それは米国が制海権を有する太平洋を超えて運ばれて来る。南シナ海の制海権だけでは不十分である。中国は食料安全保障を完全に米国に握られているのだ。
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米国が本気になって怒れば、中国人は豚肉を食べることができなくなる。それは、一度ぜいたくを覚えた中国人にとって大変な苦痛になろう。もし、そんなことになれば政権への怨嗟の声が国中に満ち溢れることになる。
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中国が南シナ海やインド洋で米国との対立を辞さない行動に出るつもりなら、食生活の根本に関わる豚肉の飼料を米国やブラジルに依存するべきではなかった。飼料を完全に自給できる体制を整えてから、米国に喧嘩を売るべきであった。
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エネルギーの安全保障を名目に南シナ海やインド洋に進出することによって、食料安全保障を危険にさらしている。マクロな視点から見れば、中国の対外戦略はただの思いつきの連続と言ってよく、そこに整合性を見ることはできない。“場当たり的“と評されてもしかたがない。
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