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   パキスタン首相失職:混迷に戻るか・安定維持か!
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最高裁・首相の議員資格剥奪!
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 パキスタンの最高裁判所は7月28日、ナワズ・シャリフ首相の議員資格を剥奪するとの判断を下した。この決定により、シャリフ氏は首相の座を降りる。
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 与党パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派が、新たな首相を選出する見込み。しかし過去にクーデターを繰り返し、強い影響力を持つ軍が今回の判断根拠となった報告書作成に関わっており、政治の混乱に乗じて軍が台頭する可能性がある。核保有国の政情の混迷が深まれば、国際社会の懸念が高まりそうだ。
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 最高裁のエジャズ・アフザル・カーン裁判官は、「シャリフ首相は議員資格を剥奪さ れる。よって首相の職を維持することはない」と述べた。
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 パナマの法律事務所から昨年流出した「パナマ文書」により、シャリフ首相一族がオフショア取引に絡んでいたとの複数の疑惑が明るみに出ており、最高裁は同国の腐敗防止機関に、さらなる調査に乗り出すよう求めた。
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 核保有国(50発保有とも)がまた政治混迷に戻るかもしれない。イスラム過激派・地元のパキスタン・タリバン運動(TTP)が拠点とする隣国アフガニスタンとの国境 地帯が不穏になる恐れがある。現政権与党が後任者を早く決めれるか、モタモタするかでは、アフガン政府も和平協議の履行に後退を示すかもしれない。そうなると、タリバン支持者が多いパキスタン軍内部の動き次第では、クーデター騒ぎに発展することも予想される。
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 「核拡散防止条約(NPT)」が発効しても、世界では核開発と保有をする国は依然として増えている。インドはNPTに加盟せず、74年には核実験を実施し、98年にも実験を繰り返した結果、同国と領土紛争を抱える隣国パキスタンが対抗手段として核実験を強行した。「核が核を呼ぶ」という典型的な拡散シナリオの実例だ。
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 イスラエルも核保有が確実視されている。NPTへの加盟を拒否し、「中東で核兵器を最初に使う国にはならない」として、核疑惑についても否定も肯定もしない立場を取る。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の推定によると、2015年1月時点で80発の核弾頭を持つとされる。
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 イランは15年7月、米英ロなど6カ国との核開発停止の最終合意に達した。イランへの経済制裁を解除する見返りに、核兵器の原料となるウランの濃縮活動に制限をかける内容だ。ただ核開発への道が完全に閉ざされたわけではなく、イスラエルが反発している。
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 一応の安定を迎えている中での、パキスタン首相の辞任。周辺国を巻き込む混迷に入り込むのか、現状安定で政権維持に努めるのか、舵を誤れば「火種」となりそうだ。
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 首相の辞任を受け、与党は後継候補としてアバン・前石油・天然資源相を選んだ。また、ナワズ前首相の弟でパンジャブ州首相シャバズ・シャリフ氏が、近く実施される下院補選で議席を獲得した後、アバシ氏に代わる首相候補とする方針も決めた。
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