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24時間稼働での環境悪化に配慮!
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木材チップなど製造の遠野興産(福島県いわき市・中野光社長)が、福島県いわき市 遠野町上遠野で2017年2月に着工した国内最大級の木質ペレット工場の建設を中止
する方針を固めたことが7月4日、分かった。住宅や学校に近く、24時間稼働に伴う 環境悪化を住民が懸念。東京電力福島第1原発事故の影響で、木の乾燥用ボイラーの排
ガスに含まれる恐れがある放射性物資を不安視する意見も根強かった。
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工場は地元産などの未利用木材を活用。破砕・圧縮して粒状にした木質ペレットを年 間最大約3万トン生産し、主に石炭火力発電所の混焼燃料向けに供給する計画だった。
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中野光社長は取材に「住民の皆さんの理解を得られないと判断した。全国から見学者 が来るような工場だったが残念だ」と述べた。
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計画を巡っては6月、住民らが「遠野の環境を考える会」を結成。住民集会を開いた り、反対署名を集めるなどしてきた。
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約250人が参加した集会では、「なぜ地区の中心部に造るのか」といった声が続出 した。福島県内の樹皮や皮付きチップを1日約40トン燃やして木の乾燥に利用するボ
イラーに関して、「(放射性物質濃度が)基準値内と言っても理解されるのか」といっ た指摘も出た。
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事業は経産省の「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助事業」の補助を受 け、補助金10億円を含め総投資額は20億円で、22人の新規雇用の予定だった。
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会社側は、濃度の低い樹皮などを使い、フィルターによる処理も行うため、排ガス中 の放射性物質が検出限界値未満になることや監視態勢を説明。6月下旬には操業中の別
の工場見学会も開いたが、賛同は得られなかった。
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説明会では、住民が関心を持っている、排ガス、騒音、振動、交通などに関しては説 明資料もなく、単に工場の概要を説明しただけで、参加者は、公害への懸念、遅すぎる
説明会への非難など、様々な住民の声があがった。
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考える会会長で地元行政区長の山村全信さん(69)は「苦渋の決断をしてもらった 。遠野興産は地元企業。今後はまちづくりで協力したい」と話した。
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計画は事業費約20億円。国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金で 半額を賄う予定だった。同社は今後、木質ペレット製造の新体制や工場予定地の活用法
を検討する。
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ペレットの需要はバイオマス発電の拡大を背景に増大しているが、安価な輸入品の利 用が多い。国産の競争力向上には生産規模の拡大が必要といわれる。
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