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   トランプのロシアゲート:就任直後の45%・今は34%!
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弾劾で罷免された大統領・いない!
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 コミー前FBI長官の証言に先立つ文書提示で、トランプ大統領の「断崖」がにわかに現実視され始めた。証言がされたからと言って、民主党が騒いでも共和党が同調しなければ現実とはなりにくい。トランプ大統領が連邦捜査局(FBI)長官だったジェームズ・コミー氏に、フリン前大統領補佐官への捜査をやめさせようとしたと報じられたことで、弾劾レベルは上がってもだ。本当に弾劾できるのか。
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 Bloombergは、弾劾について解説している。
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1.弾劾の根拠
  米国憲法は大統領や副大統領、判事や閣僚を含むと解釈される「全ての文官は反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪について弾劾の訴追を受け、有罪の判決を受けたときは、その職を解かれる」と定めている。鍵となる語句「重大な罪または軽罪」は必ずしも犯罪行為を意味しない。議会調査局(CRS)によれば、議会が年月をかけて定義してきたように、それは大統領としての越権ないし権力乱用、不当な目的または利得のための職務の乱用、「職務の機能や目的に合致しない」その他の言動を含む。
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2.誰が決定
  弾劾手続きは下院から始まる。個々の議員が通常の立法行為のように弾劾決議案を提出するか、下院全体として弾劾が正当化されるかどうかの審議を認めるための採決を行うことができる。いずれにしても通常は下院司法委員会がこの問題を担当し、同委は公聴会を開催することができ、その後、訴因を列挙した弾劾状原案を下院本会議に提出するかどうかを採決する。下院本会議が過半数で可決した訴因について上院に決議が送られる。
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3.その後の手続き
  米国政治における異例な光景の一つとなるが、上院議員100人は弾劾裁判の陪審役となり、下院議員の一部は検察官役を務め、大統領の弾劾の場合は連邦最高裁首席判事が裁判長として指揮する。証人喚問や証拠提出が行われ、検察官役の下院議員と大統領の弁護人が最初と最終の弁論を行う。定数100人の3分の2、67人以上の上院議員が有罪との判断を示せば、大統領は罷免される。
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4.過去の例は
  下院の歴史資料によると、下院は過去に60回余りの弾劾手続きを開始し、連邦判事15人、上院議員1人、閣僚1人、第17代のジョンソン(1868年)とクリントン(1998年)の2人の大統領が弾劾訴追となった。有罪とされ職を解かれたのは判事8人だ。
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5.弾劾で罷免された大統領は
  技術的に言えばゼロだ。ジョンソン大統領は陸軍長官を解任したことで下院で訴追されたが、上院採決で1票の差で罷免を逃れた。クリントン大統領の場合、「司法妨害」が有罪50、「大陪審への偽証」が有罪45でいずれも3分の2に満たず無罪となった。
1974年には、下院での弾劾訴追と上院での有罪の見通しが明らかになった段階で、ニクソン大統領が事前に辞任した。下院司法委はウォーターゲート事件で「司法妨害」「権力乱用」「議会侮辱」の三つの訴因について弾劾を勧告することを決めた。
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6.トランプ氏の弾劾はあるか
  判断を下すには時期尚早だ。米大統領選へのロシア関与疑惑を巡るFBI捜査の監督役としてロバート・モラー元FBI長官が特別検察官に任命されたことで、議員が直ちに行動を起こさねばならないプレッシャーは幾分緩和された。FBIの捜査は、議会による調査と相まって、大統領罷免手続きを進めるかどうか議会が決める前に必要とする情報の入手につながる可能性がある。クリアすべき点の一つとして、フリン前大統領補佐官への捜査をやめるようコミー氏に求めたとされる件で、トランプ氏が実際に犯罪を犯したかどうかが挙げられる。
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他にも罷免の方法は
  トランプ氏の政敵は米国憲法修正25条を指摘する。それによると、大統領が「その職務上の権限および義務を遂行できない」と副大統領と閣僚の過半数が判断した場合、大統領は職務停止となる。大統領がこれに異議を唱え、副大統領と閣僚の過半数も主張を変えない場合、上下両院それぞれの3分の2の投票で大統領の排除を命じることができる。ただ、この罷免の手法が使われたことはない。
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