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前回は「改革対守旧」で改革の奥野氏が勝利!
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JA京都中川会長も中家を応援したが!
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全農が株式会社化に絶対反対なのは、2014年11月、内閣府規制改革会議に呼ばれ た時、「全農の組織からすると、この株式会社化というのは組織の最大重要事項になり、800を超える会員総代の合意を取り付けないと前に進まないテーマです。おそらく3分の2以上が必要になります」と述べ、そう簡単な話でないと釘を刺した。
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政府は政府なりに文書表現でJAの外堀を埋めにかかった。その内容は、2014年6月の「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」の中で「農協出資の株式会社(株式は譲渡制限をかけるなどの工夫が必要)に転換することを可能とする」というものだ。
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これをたたき台に政府、与党、JA全中の協議がおこなわれ、2015年2月に合意に達し、全農の株式会社化については「その選択により、株式会社に組織変更が出来る規定を置く」という表現が使われた。
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この合意で、農水省が農協法の改正に踏み切り、2015年4月、国会に提出した改革法案では「出資組合又は出資農事組合法人は、その組織を変更し、株式会社に変更できる」という条文になった。この条文には、「その選択により」という文言が抜け落ちているのだ。完全に骨抜きにされ、全農は株式会社化は「選択でなく、必定路線」である内容だという事を全中専務から参議院議員となった山田俊男氏のブログで、「農協法の世界に“株式会社”への転換を入れ込んでしまったのは、長い歴史をもつ協同組合運動からみても大問題なのであって、共同久美氏の否定ともいうべき事態です」。このブログが全国農業関係者の目には、政府に騙されたと映ったはずだ。
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この法案を契機として、萬歳会長の突然の辞任発表となる。続いて、病気を理由に冨士重夫専務が5月に退任した。万歳会長8月退任の前にである。
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任期途中の辞任、会長選は15年6月23日から7月2日の期間、立候補者は改革派と目されるJA三重中央会会長・奥野長衛氏(当時68歳)とJA和歌山中央会会長・中家徹氏(当時65歳)の2名であった。下馬評では、全中の副会長も務め、執行部の支持を集めた守旧派の支持も集め、同じ和歌山の二階俊博総務会長とは知己の間柄でもあり、二階派の西川公也前の農水相の協力も取り付けた。
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奥野氏は農協の改革について、「トップダウンではなくボトムアップの体制にならないと生き残れない」と組織改革の必要性を訴えた。
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中家氏は、「全中の在り方について解体的な立て直しをする。それぞれの意識を変え、地域農協の声を積み上げて何が求められているか認識することが重要」と述べた。
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両者は激しい一騎打ちを展開。奥野氏は「JA全中は黒子であるべき」と持論を展開。 一方の中家氏はJA全中の副会長に前年8月に就任し、農協改革には一応携わってきた
。JA全中と政府の対立構造の中、自民党・二階総務会長と知己の間柄もあり、関係修復に期待もされた。
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だが、選挙は蓋を開くまでは分らないものだ。7月2日、JA京都中川泰宏会長も取りまとめで動き、当選が堅いと言われてきた「中家氏が落選」したのだ。
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つづく
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