無料カウンター    2016.01.25.
   日本・特恵関税廃止:中国は継続を懇願したが!
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経済規模2位だけど発展途上国!
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 日中間で〝貿易摩擦〟もどきが表面化してきた。
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 財務省は中国の輸出競争力が高まったとして、発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象国から中国を除外すると表明。
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中国商務部の沈丹陽報道官は昨年11月下旬、日本が中国を特恵関税の対象国から除外する方針を打ち出したことを受け、こう反論した。
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 中国側は「経済規模では世界2位だが、世界最大の発展途上国」とする持論を展開し「1人当たり国内総生産(GDP)や、都市と農村部の発展、社会福祉などでは先進国と大きな格差がある」と力説。「近代化実現の道は依然として遠い」と猛反発している。
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 中国は輸出が減少傾向で、しかもトランプ米大統領が中国から米国への輸出拡大を牽制する中、日本への輸出減の要因は、是が非でも排除したい思惑が透けてみえる。
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 何かにつけて「大国」を主張する中国だが、“メンツ”をかなぐり捨て、中国はまだまだ特恵関税の措置による支援が必要な国との訴えを繰り返したのだ。インターネット上では、「中国は『大国』と『発展途上国』を場面に応じて使い分けている」といった指摘が上がっている。
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 財務省が発表した2016年11月の貿易統計によると、対中国では57カ月連続の貿易赤字。中国報道で、中国社会科学院日本研究所の張季風研究員は、「日本経済の不振と長期的な貿易赤字から見て、日本が貿易ルールの調整によって自国経済の輸入減少と改善を図った可能性は排除できない」と指摘した。
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 特恵関税制度は、途上国の輸出振興や経済支援のために多くの先進国が導入している。日本も約140カ国・地域からの輸入品で、関税を下げたり、免除したりしている。この制度は経済発展を遂げた国を外す規定があり、財務省は今回、所得要件を広げるなどの見直しを行いたい考えだ。

現行の規定では、
★2016年公表の世界銀行統計で「高所得国」(14年時点の1人当たり国民総所得が1万2736ドル以上)に3年連続で該当した国・地域を対象から除外している。
今回は、以下を追加
★「高中所得国」(同4125~1万2736ドル)
さらに、基準として
★「輸出の世界シェアが1%以上」も設ける。
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新規定で、
中国、メキシコ、ブラジル、タイ、マレーシアの計5カ国が適用の対象外となる。
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 平成27年度に優遇税率を適用されたものの6割は中国からの輸入品。今回、冷凍タコやペットボトルの原料であるポリエチレンテレフタレートなど約1000~2000品目で関税が上がるとみられる。
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 昨年11月下旬に東京・霞が関の財務省で開かれた関税・外国為替等審議会の分科会では、ある委員が「そもそも途上国の経済発展に資することが趣旨で、経済が発展した国への特恵措置は廃止されていくべきだ」と主張。政府内には「経済発展しているのに関税をまけてやる必要があるのか」(関係者)との声もある。
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 トランプ米大統領は中国産品への関税引き上げを訴え、米中間の貿易に大きな影響を及ぼす可能性もある。こうした中、特恵関税の対象から外れ、日本への輸出が減るのは避けたいというのが中国の本音だ。そのすがるような思いは、中国商務部の沈報道官が、先に触れた11月の会見の中でみせた“最後の泣き落とし”ににじんでいる。自国の都合で拝んだり、泣いたり、意が通らなければ威圧に及ぶ米国に負けない「勝手な国」である。
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<財務省が昨年11月24日に発表した内容>
財務省は24日に開いた関税・外国為替等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、発展途上国からの輸入品の関税を優遇する「特恵関税」の対象国を見直すと発表した。新たな基準で、中国やメキシコなど5カ国が関税の減免対象から外れる。帰国した旅行者の消費を国内に取り込むため、国際空港の入国エリアへの免税店の設置も認める。
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 与党の税制調査会が12月8日にもとりまとめる2017年度の税制改正大綱に盛り込む。
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 現行の特恵関税は3年連続で高所得国だった国・地域を対象から除外している。新たに「高中所得国に分類され、かつ輸出の世界シェアが1%以上」との基準を設けて19年度から適用する。新基準では中国やメキシコのほか、ブラジル、タイ、マレーシアが特恵関税の対象から外れる見通し。
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