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   日銀黒田・次の一手:ヘリコプターマネーか!
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禁断のあの手かと疑っているが!
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 マイナス金利が導入されて「円安が進む」と踏んでいたが、日銀の目論見も当てが外れ 、ECB(欧州中央銀行)など他国や地域も、マイナス金利による目算が外れ、まるで成 果が上がらない状況だ。日本、欧州ともにインフレ目標を達成できない期間が長引いてお り、共に「手詰まり感」が漂っている。
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 いま注目されているのが、異次元の金融緩和(QE)やマイナス金利導入といった金融緩和策に続く「次の一手」だ。量的緩和拡大やマイナス金利幅の拡大といった小手先の政策では解決策とはいえず、出口のない袋小路に迷い込んだ状態だ。どうしたらよいか、何か画期的な方法がないかと、世界中の金融当局者が模索している。
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 そんな中、禁断の政策と言われるのが「ヘリコプターマネー」だ。言いだしたのは、ドラギECB総裁が2016年3月に発したコメント、「ヘリコプターマネーの導入を検討
したことはあるか?」という質問に対して、「検討したことはないが、非常に興味深いコンセプトである」と答えたのだ。
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ヘリコプターマネーというのは、文字通りヘリコプターからお金をばらまくような金融政策。これまでの量的緩和と決定的に異なるのは、ばらまくお金の調達方法にある。中央銀行が紙幣を印刷して、その紙幣で国債を購入し、政府に提供する。政府は財政負担とならず、返済や利払いの義務も追わない。「財政ファイナンス」とか「債務の紙幣化」とも呼ばれるが、日本では法律(財政法第5条)で禁止されている経済手法だ。
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 ドラギECB総裁の発言は、大きな反響を呼び、1920年代にハイパーインフレを起こした歴史を持つドイツは猛反発した。米国の経済新聞「ザ・ウォール・ストリート・ジャーナル」が、ヘリコプターマネーに関する記事を掲載したことも注目された。同紙は、3月22日の紙面で「『ヘリコプターマネー』用いる時機到来か」という記事を掲載し、 注目を集めた。
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 ヘリコプターマネーは、1969年に米国のノーベル経済学者「ミルトン・フリードマ ン」が提唱した。ヘリコプターからお金を撒くような方法で市中に紙幣をばらまけば、かならずデフレから脱却して、インフレを導き、景気回復を遂げることができる、というシンプルな考え方だ。例として、国民個人或いは世帯ごとに、期限付きの「プリペイドカード」を50万円ずつ配布する、といった方法でもいい。実行に移すのは簡単だ。
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 実際に、ヘリコプターマネーを実践した国や地域がある。日本も、戦前の1930年代前半の犬養内閣の高橋是清大蔵大臣が、ヘリコプターマネーを実行し、金本位制からの離脱などと合わせて実施し、29年の米国発大恐慌に苦しんでいた欧米先進国に先駆けて、景気回復を成し遂げた。しかしながら、その後の軍部からの無制限の軍事費要求を断れずに、中央銀行が戦費を提供し、無制限の軍拡を実現させてしまった。最終的に太平洋戦争に突き進み、敗戦後ハイパーインフレを引き起こしてしまった。
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 日本ではこのような歴史的事実があるために、明確に「ヘリコプターマネー=財政ファイナンス」を法律で禁止している。しかし、安倍内閣では日本銀行が、日本国債の新発債の7~8割を引き受けている。アベノミクス以前は、日本銀行が保有する国債は50兆円程度だったのだが、いまや300兆円にまで膨れ上がっている。
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 「安倍政権なら、禁断のヘリコプターマネーをやって仕舞うのではないか」--という不安が、外国人投資家の間で広がっている。
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 禁止されている財政ファイナンスを、どんな方法で合法化出来るのか。実は「特別な事由がある場合には、国会の議決を経た金額の範囲内」であれば例外的に認められている。
本来であれば財政ファイナンスなどあり得ないのだが、最近の野党は無論のこと、与党の自民党内でさえもストップできない。さらに、こうした国会議決を得ないでも実行できる方法もある。
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その1
 2015年1月5日のロイター電子版で「日本は先進国初の『ヘリコプターマネー』発 動か」と、コラムを掲載している。その中で日銀が保有する国債を「ゼロクーポン永久債」に転換する方法を紹介している。英金融サービス機構(FSA)長官だったアデール・ターナー氏のアイデアとして紹介したものだが、「裏口からの紙幣増刷」と紹介した。
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 ゼロクーポンというのは「金利ゼロ」のこと、通常は満期の「償還価格」から利息分を差し引いた価格で売り出し、償還時には額面通りの金額を受け取れるという仕組みだが、ゼロクーポンということは額面価格そのままで発行されて利息はなし。しかも、償還期間のない永久債だ。要するに、政府は返さなくてもいい国債の枠が300兆円程度出来ることになる。返済する義務がないから、現在のように「政府債務の増大」といった指摘を受けることもなく、財政赤字への拡大に悩むこともない。国民は将来の増税や政府の債務不履行を心配する必要もなくなる。インフレになることも目に見えているから、今のうちに使ってしまおうという「消費意欲」もわいてくる。
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 保有国債をゼロクーポン永久債に転換させるという方法は、日銀法によって制限されている「規定外の業務」に相当するのかもしれないが、これも「財務省及び首相の認可を受けたとき」は例外扱いされている。
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その2
 最近使われている言葉に「ベーシックインカム」というのがある。簡単に説明すると、移民が多い欧州諸国などで検討されている画期的な政策で、国民一人一人に、生活保護費や最低賃金の1か月分の賃金を上回るお金を給付しようという政策だ。実際に、フィンランドでは2002年に「ベーシックインカム白書」が出されるなど、その導入に向けて準備が進められている。これは、ヘリコプターマネーそのものの政策だが、生活保護や最低賃金に関わる様々な諸問題を解決する方法として、すでに200年以上も前から提唱されている奇抜な政策だ。たとえば、フィンランドでは月額約11万円のお金を国民一人一人に給付するのだが、通常の生活保護と違って、貧しい人であろうと、裕福な人であろうと、すべての国民に現金を給付する。その代わり、生活保護制度や最低賃金制度、年金制度などの社会保障費もすべて廃止してしまう。生活保護制度の場合、その人の収入額などに応じて給付されるわけだが、その選別が極めて困難で、コストがかかる。それなら選別を辞めて、すべての人に最低限暮らせるだけの現金を配ってしまおう、という考え方だ。移民が多い欧州独特の考え方だが、フィンランドの市民権を持っていない移民などは、その給付対象にならないために、かえって格差が拡大するのではないか、とも言われている。
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 これでは、国民の勤労意欲を削いでしまうのではないかという考え方もある。しかし、それでもベーシックインカムは、無駄な政策を省略してコストを引き下げることで、格差の拡大解消には効果的な方法だと主張する人もいる。日本や先進諸国が揃って抱えている「少子化」の解決策にもなる。1人当たりの給付金額だから、子どもを一人産めば、その 分だけ世帯の収入も増える。仕事をしなくても、子育てだけで食べていけることになるわけだ。
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 一見、共産主義的な発想に見えるかもしれないが、これはあくまでも資本主義社会、民主主義社会において実践される政策のひとつだ。スイスで1人当たり「月額30万円」のベーシックインカムの導入を巡って、この夏にも国民投票が行われることになったからだ。スイスの場合、10万人の署名が集まれば、国民投票しなければならない法律があるため、簡単に国民投票が決まってしまうという事情があるにせよ、ベーシックインカムが国民の判断に委ねられること事態が異常ともいえる。
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 現在の日銀にはヘリコプターマネーという方法ぐらいしか残されていないのが現実だ。ドラギECB総裁が発言したように「興味深いコンセプト」であり、日銀にとってはヘリコプターマネー導入への誘惑が、日に日に高まっているのは事実だろう。確かに長い歴史の中では、成功したこともあり、失敗例はもっと多い。その結果は「大惨事をもたらす」 ことを忘れるべきではない。1930年代前半の日本の高橋蔵相時代のヘリコプターマネー政策は、その資金が軍部に流れて、際限のない軍拡時代をもたらした。その結果、無謀な戦争へと突入したことは良く知られている。1920年代のドイツでは凄まじいハイパーインフレをもたらした。70年代以降、何度かハイパーインフレを経験したアルゼンチンなども、財政ファイナンスが原因で悲惨な結末を迎えた。
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 JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長が、日本銀行がヘリコプターマネー導入の環境が整っており、その結果は「大惨事」に見舞われると警告している。ドイツ銀行のレポートは、「現在の日本経済は(危機を真っ先に知らせる)炭鉱のカナリア的な位置づけ」と指摘されたことを忘れてはいけない。
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 G7が5月27日に終わり、安倍首相は「いまの世界経済はリーマンショックの前の状況に酷似している」と危機感を煽り、先進国が協調し財政出動にに踏み出すべきと扇動したが、欧州各国特にドイツは「リーマンショック前とは理解していない」と否定した。
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 ヘリコプターは日本1国でもできる。実際に発動しなくても、日銀は「指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入」の拡大(5%まで)で 、連日のように12億円以上の買入れを行っている。
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日銀が足元で買い入れていると見られる銘柄
(コード・Reit名・分配金利回り・NAV倍率)
3263・ 大和ハウスリート投資法人・ 3.04%・ 1.65
3279・ アクティビア・プロパティーズ投資法人・ 3.33%・ 1.68
3281・ GLP投資法人・ 3.28%・ 1.73
3283・ 日本プロロジスリート投資法人・ 2.86% ・1.80
3285・ 野村不動産マスターファンド投資法人 ・3.32%・ 1.35
3292・ イオンリート投資法人・ 2.99% ・1.44
8973・ 積水ハウス・SI レジデンシャル投資法人・ 3.65%・ 1.31
8977・ 阪急リート投資法人・ 3.57% ・1.18
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