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外部からの不当な働き掛け排除に効果!
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入札書の内訳確認・設計業務入札で強化へ!
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東京都は、発注工事や委託業務の予定価格を入札公告時に公表(事前公表)する現行制 度を維持したまま、適正な競争環境を確保していく方針を堅持する。
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予定価格の事前公表には、くじ引きで受注者が決まるなどの弊害も指摘されているが、 一律に情報を明らかにすることで外部からの不当な働き掛けを排除する効果に重きを置く
。不適切な積算による応札を防ぐため、入札時と開札後に応札額の内訳を確認するチェック体制を7月から設計業務の入札で強化する。
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公表前の予定価格を職員が特定の企業に漏らす不正の撲滅は公共発注機関の長年の課題。どの機関も組織内の法令順守を徹底しているが、外部からの不当な働き掛けはいつ起こるか分からない。
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15年4月に運用が始まった改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針は、予定価格を開札後に公表(事後公表)することを原則としているが、「入札契約制度に対する都民の信頼を確保し、発注者の責務を果たすためには事前公表がより望ましい」というのが都の見解。不正な情報漏えいが起きないよう、組織として予定価格を一律に明らかにした方がよいとの発想だ。
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工事では、02年4月から予定価格250万円以上の入札すべてで予定価格の事前公表を行っており、今後もこの方針に変更はないという。
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国の運用指針が予定価格の事後公表を原則としているのは、工事の品質確保のためには企業の技術力と経営力に基づく受注競争が不可欠とみているためだ。予定価格を事前公表してしまうと、積算にかける労力やノウハウが不要になり、能力のない業者が参入したり、応札額に差が付かない事態を招きかねない。こうした懸念を払しょくするために都は、応札額の内訳を考慮せずに入札に参加してくる業者の排除に取り組んできた。
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財務局によると、同250万円以上の工事と同局契約第一課が発注する土木設計では、入札時に入札書と同時に工種ごとの数量や単価などを示した概略の内訳書をすべての参加者に提出してもらっている。開札後、落札予定者となった業者には詳細な内訳書の提出を求め、内訳が適切であれば正式に落札者とし、不適切なところがあれば1度は見直しを求める。改善がなければ落札者として認めない。
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16年度は、契約第一課が7月1日に入札公告する建築・設備設計にも内訳書を二重に確認する仕組みを導入する方向だ。財務局以外の部局にも同様な仕組みは広がっている。技術力のより高い企業の選定に向け、都は総合評価方式の適用拡大にも努める。
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国の運用指針が策定されてから、首都圏の公共発注機関では、組織の実情などの違いから工事や業務の入札契約関連手続きで独自の方向性を導入する動きが目立ち始めている。
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・関東地方整備局は、広域の自然災害発生に備え、災害協定に基づく企業の活動実績を幅広く評価。
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・埼玉県は、担い手確保のために若手技術者の起用と建設現場の4週8休の確保を同時に評価する発注方式を16年度に試行する。不正防止の観点から予定価格の事前公表を堅持する都の方針も独特。
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こうした事例を踏まえ、他の発注機関が予定価格の公表時期をどう運用するか、動向が注目される。
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