無料カウンター    2016.03.08.
   過去最高益の日本企業:ため込んでも使わぬ!
   
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内部留保3年で69兆円増加!
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従業員給与と賞与・1.6兆円減った!
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春闘で賃上げ・首相が期待感!

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 首相は、先週の経済界の代表と意見交換する会合「官民対話」で「過去2年の大幅な賃 上げの流れをさらに進めていただきたいと経済界にお願いした」と述べた。
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 民主党の増子輝彦氏に追加の経済対策の必要性を問われ、「経済の状況については、注 意深く見ていかなければならないが、まずは現在審議をしている来年度予算案の早期成立 こそが最大の景気対策だ。現段階で補正予算については全く考えていない」と述べた。
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 連合は3月3日、春闘の賃上げ要求額(2月29日現在)は平均9444円(定期昇給 分含む)で、前年より1443円下がったと公表した。引き上げ率は平均3.27%で、 定昇分の2.0%を引くと1.27%となり、2%程度を基準とした連合の方針を下回っ た。
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 連合のまとめによると、要求を提出した労働組合は4734組合(前年同期比230組 合増)。うち組合員数300人未満の中小組合は1515組合(同85組合増)で、平均 要求額は8002円(同1694円減)だった。要求額は減ったが、要求を提出した組合 数は昨年を上回った。
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 非正規労働者については128組合(同19組合増)が平均942.85円(時給)を
要求し、引き上げ幅は約30円(同約10円減)となった。
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 過去最高益を出している日本企業だが、2015年9月末の利益剰余金は343兆円ま で積み上がり、安倍晋三内閣発足した直後の2012年12月から約69兆円増加した。
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 その一方で、ビッグデータ、人工知能(AI)など最先端分野で米企業に後れを取って いる。また、従業員給与と賞与の総額は減少。貯め込むだけの企業の姿が浮き彫りだ。
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 アベノミクスがスタートした2012年12月以降、円安の進行と株高によって企業セ
クターの活力は急回復した。
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 民主党政権時代の円高や高い法人税率など「6重苦」が輸出系企業を中心に重荷になり 、日本経済を停滞させているとの批判を経済界から受けていた。そこから株価はV字回復 し、確かに日本経済は明るさを取り戻してきたが、世の中には、どうも「景気回復を実感 できない」という声が多い。
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 アベノミクス前半の3本の矢では、大胆な金融緩和と積極的な財政政策、成長戦略によ ってデフレから脱却し、経済を拡大基調にすることを目指してきた。
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実際、2012年から2015年までに国内総生産(GDP)は5%超の伸びとなっている。ところが、実質GDPの伸びは1.7%にとどまっている。このギャップを解き明か すキーワードとして、企業の「内部留保」を挙げることができる。
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 財務省の法人企業統計によると、2015年9月末の全産業の利益剰余金は343兆円 。2012年12月の274兆円から69兆円も増えている。
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一方、従業員給与と賞与を合わせた額は、12年12月の35.1兆円から33.5兆円へと1.6兆円減少した。
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 少なくとも、この3年間で企業は利益を積み上げてきたが、従業員の収入を押し上げる ような対応はしてこなかったということが、法人企業統計のベースでは明らかだ。多くの 企業は国内における増産投資を手控えており、利益の増大が付加価値を生み出す方向に波 及せず、結果として企業の内部留保が積み上がるだけという傾向だ。
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 製造業を中心にした日本の大企業は、あまりにも組織が官僚化し、アニマル・スピリッ ツが枯渇した可能性がある。
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 日銀が1月29日に決めたマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)も、最終的 にはキャッシュを持っているよりも、積極的に投資などにマネーをシフトさせた方が「お 得ですよ」とシグナルを送った政策とも言える。だが、企業サイドに明確な成長モデルが なく、目指すべきフロンティアのイメージがなければ、より安易な道に向う可能性がある 。その1つが自社株買いの増加傾向だ。
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 多くの企業が自社株買いをすることは、短期的に株価の下支え要因になったとしても、 日本企業の競争力を中長期的に向上されることにはつながらない。
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 日本企業の「尻込み体質」は、改善される気配はない。
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