2016.03.06.
   中国・軍事衝突へ備え:空母ステニスと対峙!
   
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米空母打撃群・周囲に中国艦船!
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 中国の李克強首相は3月5日に開幕した全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で読 み上げた政府活動報告で、習近平国家主席が進める軍の大規模改革に関連し、「軍事闘争 への備えを統一的に進め、平時の戦備と国境・領海・領空防衛の管理を厳密な計画に基づ いて行う」と強調した。 
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 米海軍は5日までに、空母打撃群を南シナ海に展開したことを明らかにした。中国海軍 はこの動きを注視しているとみられる。
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 米第7艦隊は4日、声明を発表。ニミッツ級空母「ジョン・ステニス」や誘導ミサイル駆逐艦「チャン・フー」「ストックデール」のほか、誘導ミサイル巡洋艦「モービルベイ」、補給艦「レーニア」が1日から南シナ海東部に展開していると明かした。
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また、中国海軍の艦船も「近距離」に展開しているとしている。
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空母ステニスのグレッグ・ハフマン艦長は、空母打撃群の近くで中国の活動が増えていることを指摘。「中国の艦船が周囲にいる。私の過去の経験ではあまり目にしなかった」と述べた。ハフマン氏は2007年にも南シナ海に配置されていた。
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米海軍は南シナ海への空母打撃群の展開について、通常の派遣だとしている。
.1月には、米イージス駆逐艦「カーティス・ウィルバー」が南シナ海を航行。中国、台湾、ベトナムが領有権を争う西沙(パラセル)諸島のトリトン島から12カイリ以内を航行した。米国防総省はこれについて、「米国や他国の権利と自由を制限する行き過ぎた海洋権益の主張」に対抗する狙いだとしていた。
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一方、中国の全国人民代表会議(全人代、国会に相当)の傅瑩報道官は4日、南シナ海の「軍事化」を激化させているのは中国政府ではなく米国政府だと指摘した。
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 国防総省は「南シナ海を含め、西太平洋全域で艦船を定期的に運用している」とした上で、警戒監視活動は「国際法と合致している」と強調した。南シナ海で地対空ミサイルやレーダーなどの配備を進める中国に対抗する狙いもありそうだ。
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 ステニスのハフマン艦長は空母の周囲に集まった中国軍艦の数の多さについて「過去の経験では見たことがない」と説明した。
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 ステニスを中心とした艦隊には、イージス巡洋艦やイージス駆逐艦も含まれる。第7艦隊の拠点である米軍横須賀基地(神奈川県)に配備されているイージス巡洋艦アンティータムも警戒監視活動に参加した。
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 中国政府は5日に発表した2016年度予算案で、国内総生産(GDP)の成長率を上回る水準の前年度実績比7.6%増の国防費を計上した。習近平指導部は南シナ海での「軍事化」にまい進。西太平洋の支配権確保も狙っており、海洋権益をめぐる各国との対立長期化を見据え、軍拡を加速させる方針だ。
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 習指導部は一連の軍改革で第2砲兵部隊(戦略ミサイル部隊)を格上げして「ロケット軍」を創設。海軍と空軍の装備の最新鋭化を柱とした近代化を進めるとともに、宇宙空間やサイバー攻撃への対応など、軍の管轄分野を拡大している。
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 中国の国防費は米国に次ぐ世界第2位で、日本の16年度予算案の防衛関係費の約3・3倍。英シンクタンクによると、オセアニアを含むアジア各国の15年の国防費の総額のうち、中国が41%を占め、突出ぶりは明白だ。
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 国防費の詳しい内訳を公開していない上、空母や宇宙関連など大型装備の研究開発費は別項目で計上されている可能性が高い。各国の懸念を高める大きな要因になっているが、中国側は「中国の国防は防衛的」と繰り返すばかりで透明化への動きは一切見せていない。
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 習指導部は朝鮮半島情勢の緊迫化や、台湾で5月に独立志向の民主進歩党(民進党)政権が発足することも「不安定要因」と位置付け、軍拡を進めていく構えだ。
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