2015.11.02.



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スイス資源大手・グレンコア:石油で大損・世界が注目!

リーマン・ショック以上の衝撃が来るか、、!
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 9月28日の米国株式市場でスイスの資源大手グレンコアの株価が29%下落し、上場以来最安値をつけたグレンコア・ショック。それに伴い、ダウ工業株30種平均が前週末比で312ドル下落した。
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 中国経済の後退による資源価格の下落により同社の株価は下落し続け、時価総額は今月に入り140億ドル(約1兆6800億円)が吹き飛びました。同社の債務は時価総額の倍以上もあると見られており、28日のロンドン市場で株価は30%ほど下落。3月以来の下落率が76%に達し、日経平均も一時17000円割れとなった。
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 原因は、資源価格急落を理由にグレンコアの財務状況に対する懸念が市場に急速に広がったからで、同社は過去10年に渡り中国主導の資源ブームにどこよりも上手に乗ってきたが、中国の資源ブームが崩壊した現在、最も顕著な犠牲者となりつつある。グレンコアの株価時価総額は今年に入って約450億ドル減少し、その下落率は約80%に達した(株価は週初の急落から回復したが、債券投資家は依然として慎重な姿勢を崩していない)。
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 日本ではグレンコアの事はあまり知られていない。正式名はグレンコア・エクストラータといい、鉱山開発および商品取引を行っている。2013年の売上高は約2327億ドルで、スイス・バーゼルに本社を構える(登記上の本社はイギリス王室属領のジャージー)。
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 グレンコアはスイスの著名な相場師であるマーク・リッチ氏によって1974年に設立。2011年に株式を公開して以来、当局の規制で業務を拡大できないゴールドマン・サックスなどのライバル達を尻目に商品取引分野で大躍進を遂げるとともに、2013年5月に資源メジャーであるエクストラータを合併したことで、鉱業部門で世界4位、商品取引部門で世界1位の企業に躍進した。
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 グレンコアの事業は競合企業と違って採掘して売却し利ざやを稼ぐという単純なものではない。市場関係者は「グレンコアは取引量は開示しているが、どのような種類の取引をしているか明らかにしていない。取引部門はまるでブラックボックスである」と指摘する。
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 この不透明性が市場での不安をかき立てている。グレンコアの債務は約300億ドルだが「それ以外に大量の債務が簿外に隠れているのではないか」との観測が出ており、グレンコア債の利回りは既にジャンク債並みの水準となっている。
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 銅の世界取引の5割に関与しているグレンコアは、銅の先物価格の下落により苦境に陥ったとされているが、専門家が注目しているのは、同社が手掛けている石油デリバテイブ業務である。
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 銅先物市場の月間取引高は100億ドル程度。WTI原油先物市場の月間取引高は約8400億ドルに達し、NY株式市場の月間取引高(約1.5兆ドル)の半分に相当するほど巨額である。原油の取引によって生ずる損失は、銅の取引から生ずる損失より桁違いに大きいと考えられる(価格も2011年3月と比較して銅の下落率が50%弱なのに対し、WTI原油の下落率は60%弱と大きい)。
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 グレンコアは米国のエネルギー取引へ参入するため、06年頃からスイス銀行大手のクレデイ・スイスとともに石油デリバテイブを開発した。09年から販売を急拡大し、現在世界の石油取引の3%に関与していると言われる。14年後半からの原油価格の下落により、高値で購入した原油先物に多額の損失が発生している可能性がある。
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 15年9月、シェール企業販売原油のうち3割の価格は、先物の「売り」により14年9月の価格水準である1バレル=87ドルとなっている。実際の市場価格は40ドル以下なので、シェール企業は現物を買い戻すと1バレル当たり約50ドルの利益が出る。シェール企業の原油生産量は日量550万ドルであり、その3割をヘッジしているとすれば、1日当たり8250万ドル、月間で25億ドルの利益が出る勘定になる。
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 シェール企業が儲けた分、先物の損を負担する側は大赤字になる計算だ。グレンコ
アのような石油取引会社は、原油市場の構造が、期先物価格の方が期近物よりも高い「順ざや」になっていることから、過剰分の原油をカリブ海の小島の陸上タンクに貯
蔵することで利益を上げていると言われている。しかし、これによって生じる利益で、先物買いから発生した損失の穴埋めができているとは思えない。
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 グレンコアは米国では既に「グレンロン(グレンコア+エンロン)」と呼ばれているが、エンロンのように破綻するようなことになれば、今後先細りになることが予想されるものの、しばらくの間はシェール企業の収益源となる「先物売り」から生ずる差益が一気になくなってしまうとの懸念がある。
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 10月13日以降も、ショックは冷めず、「グレンコア・ショック」はここ数年くすぶってきた資源商社への規制議論に一石を投じる可能性がある。リーマン・ショック以降の金融危機を経て、欧米は金融機関への規制強化にかじを切った。金融機関だけでなく、「事業を広げる資源商社にも規制をかけるべきだ」との意見も増えている

。資源商社が規制の枠外にとどまれば、危機発生時に金融システムのリスク連鎖が起きる懸念が根強いためだ。
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 「チャイナ・ショック」が「グレンコア・ショック」そして「シェール・ショック」と将棋倒しにならないとも限らない。そうなった場合、リーマンショックより大きな経済事件となる。
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