2008.08.29.

多摩談合事件・課徴金納付命令:半数以上が高裁提訴!

行政処分の先送り作戦か!


 8月28日、公正取引委員会が東京・多摩の独禁法違反事件(多摩事件)の審決を公表して以降、審決を受け入れ課徴金を納付するか不服として高裁に提訴するかで、その去就が注目されていた対象ゼネコン30社のうち、東京高裁への提訴企業が半数以上に及ぶことが明らかになった。

高裁に提訴した企業への国交省の行政処分は裁判の結審以降となる。

多摩事件は、公正取引委員会が00年9月に東京都新都市建設公社(東京都と6市が出資)などが発注する土木・建築工事で独禁法違反があったとして立ち入り調査を行い、01年11月に排除勧告なしの課徴金納付命令を34社に出した事件。

 34社はその内容を不服として6年半にわたり審判で争っていたが、7月28日、公正取引委員会は34社のうち30社に対して期限までに課徴金の納付を命じる審決を下したことを公表した。

 独禁法上、課徴金納付命令を受けた企業は通知日から30日以内に審決内容に不服がある場合には、東京高裁へ審決取り消し請求を提訴する権利がある。提訴しなければ自動的に応諾することになる。今回の場合の提訴期限は、8月25日。

 課徴金納付命令を受けた30社のうち過半数を超える企業が東京高裁に提訴することを決めたのは、多摩事件を受け八王子市と日野市の住民が企業を相手取って損害賠償請求をしていた民事裁判で7月に出された東京高裁判決が背景にある。

 今回の東京高裁への提訴では、審決前に東京高裁で東京・八王子市や日野市の下水道談合事件(多摩事件での対象工事の一部)に関する住民の損害賠償訴訟で、談合が認められないなどの司法判断が示されことも影響したものとみられる。

 日野市案件では、公取委が指摘する「協力者を含めた広域ゼネコン間」で、「基本合意又は慣行が存在していたと認めることはできない」としたうえで、「個別受注調整による談合があったと認めることはできない」と住民側が全面的に敗訴したほか、八王子市案件でも対象11社のうち5社については受注調整を認めなかった。

 そのため各社は、東京高裁の民事判決の内容分析と公取委の審決を踏まえ、応諾か審決取り消し訴訟かの二者択一を慎重に判断、結果的に過半数の企業が、「司法判断を仰がない理由が見あたらない」として提訴を決断した。

 また、提訴に踏み切る背景には、民事裁判で企業が勝訴したにもかかわらず、裁判の1審に当たる公取委審決を応諾した場合、審決取り消し訴訟に踏み切った企業が司法の場で勝訴すれば、応諾した企業は自社の株主からの株主代表訴訟というリスクも念頭にあったと見られる。

 結果的に提訴に踏み切る企業は、「そもそも公取委の解釈が間違っているという法律解釈の判断を司法の場に委ねることが先決」と判断した。

 今後提訴する企業は、審決取り消し訴訟で認められる証拠が審判廷で提示されたものだけしか認めない「実質証拠」原則のなか、基本合意と個別調整行為という入札談合の認定要件そのものを認めなかった民事裁判の証拠提出を求めていくのは確実。